2005年10月23日

ミスの連鎖

航空事故―その証跡に語らせる 【題名】航空事故―その証跡に語らせる
【作者】柳田 邦男
【制作】中央公論新社 【価格】¥ 734¥ 45
【発売】1975-01 【ASIN】412100390X 【データ取得日】Sat Oct 13 21:13:09 2007

も、8割方読み進んだところだ。
本書は30年ほど前に書かれたものだが、今に通じることが多く書かれている。

記載されている航空機事故の多くは、ほんの些細なミスがまるで意志を持ったかのように、連鎖し合って大事故に繋がっている。

いつだったか、航空機事故ほどのダメージは無かったものの、同じような場面に遭遇したことがある。

1.顧客レビューで、サーバ構成不備の指摘があった。(顧客レビュー前に内部レビューで見つからなかったのかということも課題。)
2.その指摘に対して、真意を突っ込まずに対策することを決定。(これが最初のミスか。)
3.顧客指摘とは違う観点で設計見直しを行う。(見直しを行う設計者は顧客レビューに出席していない。出席者がどこまで設計担当者に意図を伝えたかは不明。議事録も作成されていない。)
4.見直し案を考えるが、社内有識者に聞かずに担当者が独自に検討する。(これもおかしい。)

5.選んだ対策案はサーバのハードウエア構成追加を伴うもの。(この対策内容も、ベストではない対策)
6.対策案に対する適切なレビューが行われていない。(これもミスといえばミスだけど、根が深い)
7.大変な努力を要して、追加ハードウエアを準備し、本番適用直前に追加することを決定。(これもリスク高く、その時期でやるべきかの議論が不十分)
8.追加ハード用に設定ファイルを修正。(ここでも設定ファイルに小さなミスがあった)
9.サーバ検証作業するが、うまく動かない。追加ハードの不具合か設定ファイルの間違いかの切り分けに時間がかかる。(切り分け手法にも改善の余地があったと考える)
10.何とか現場の徹夜の努力でしのぐ。

という感じで、デスマーチ一直線の様相。

2か4、それでなくとも5か7で私が入っておけば、いろいろぶつぶつ言って別の道を歩いていたと思うんだけど。

今だから言える、結果論かなぁ。

投稿者 his : 2005年10月23日 04:15
このエントリーのトラックバックURL: http://hoop.euqset.org/blog/mt-tb2006.cgi/1412
決断力/羽生 善治
概要 「集中力/谷川 浩司」に引き続いて、ほぼ一晩で読み終わった。 谷川、羽生とも将棋の道を究めようと言う感じであるが、やや羽生の方が「勝つ」ことに関して意識があるような気がする。 #どちらが良い、悪いではない。 さて、本書を読んで思ったことであるが、谷川も羽生...
ウェブログ: shibata(hi) shokudou
時刻: 2005年10月23日 21:18
コメント

記事を書いた後で、自分で読んで思うこと。

・ミスの連鎖は偶然ではなく、必然だと言うこと。
・上記1になる前に、現場に根本的な原因があると言うこと。
・更に、現場の根本的な原因を生み出した組織的な原因がある。
というのも感じている。

Posted by: his : 2005年10月23日 04:31

必然というか、背後には鎖のどこかで止まっている事例が山ほどあるのだと思うのですよ。それぞれがある確率ですり抜けている危険性を持っている、だから人頼みにしないで、それぞれが自分のところのすり抜け確率を最小にするよう努力しないといけない…ということだと思うのですけれども。

Posted by: なかの : 2005年10月23日 13:03

> 必然というか、背後には鎖のどこかで止まっている事例が山ほどあるのだと思うのですよ。

御意。
航空機事故にしても、私が知っている案件でも、
ある時は安全に、ある時は瀬戸際で危機から回避できている
ものの方が多いです。

本書が書かれた時代には、まだまだ小さなインシデントの集計が行われていなかったようで、統計上のインシデント、アクシデント、クライシスの比率については触れられていません。

必然と書いたのは、「その」事例では、後から考えると必然だったと思える状況があったと言うことです。

別の言い方をすると、「うまくいくとき必然的にうまくいったり、偶然うまくいったりする事があるが、ダメだったときは偶然ダメと言うことは少なく、ダメだった要因がどこかにある。」と言うことです。

> それぞれがある確率ですり抜けている危険性を持っている、
> だから人頼みにしないで、それぞれが自分のところの
> すり抜け確率を最小にするよう努力しないといけない…
> ということだと思うのですけれども。

はい。
航空機事故も、
・航空機製造会社の
 ・経営層
 ・設計者
・航空運輸会社の
 ・経営層
 ・整備士
 ・操縦士
 ・荷物運搬者
・航空管制者
・航空行政責任者
などが、それぞれラストマンの想いと行動をとれば、どこかで連鎖が切れていたと思います。
著者も同じ主旨のことを書いています。

#わかっちゃいるけど出来ていないことなんでしょう。
#そして、出来ないことにも必然が...

Posted by: his : 2005年10月23日 13:25

加えて思うに、各鎖はできるだけ独立でなければいけない、というのがあるかと思います。同じ制約条件 (コストとか納期とか) の下でアクションを起こすのでは、ある条件下での「すり抜け」条件が同じになってしまう、そうすると止まる確率は各鎖の確率の積ではなくなってしまいますね。ある鎖が別の鎖にプレッシャーをかけたりするのも同様。

ちょっと話が別になるかもしれませんが、某社の粉飾決済を会計検査会社が止められなかった、なんてのがこの手の「止まらなかった」例でしょうか。

Posted by: なかの : 2005年10月23日 20:56

> 加えて思うに、各鎖はできるだけ独立でなければいけない、というのがあるかと思います。

そうなんです。

そうなんですが、(言葉というものは良くできているなと思いますけど)鎖で結ばれたもの同士は、近づくのは比較的容易ですけど、ある距離以上に離れるには鎖を断ち切るしかない。

ここが難しいところだと思うんです。

Posted by: his : 2005年10月23日 21:16
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?





画像の中に見える文字を入力してください。